2013年9月26日木曜日
9・13緊急抗議報告(本部ブログより)
13日16時、東京・福島の両検事から、不起訴処分に至った経緯を説明いただきました。東京地検に入ったのは、弁護団の河合弁護士、海渡弁護士、告訴人12人の計14人。先に検事から、不起訴処分の説明を聴き、その後、質疑応答に入りました。
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Q:福島の事件を東京地検へ移送した理由は。
A:過失の内容が共通していたため、合同で捜査を分担してきた。処分を下すにあたって、被告訴人の多くが東京に住み、東京地検が主たる捜査を担当したため、安定性・統一性の見地から東京に移送することとした。
Q:何回も確認したはずだ。処分の通知はどこから出されるのかと。福島だというお話だった。
A:その件には異議がある。福島で告訴された事件は福島が処分を出す、それは当然だとお話しただけだ。移送するかという質問ではなかった。
Q:福島の検察審査会に、申立書を出させないための政治的な移送ではないのか。
A:そのような意図はない。
Q:一部報道で、結論ありき、不起訴のための捜査だったと書かれているが、それは本当か。
(配布資料:北海道新聞 9月11日)
A:そのような事実はない。
Q:では、新聞社に抗議したのか。
A:していない。新聞社への抗議は、私が判断する問題ではない。
Q:中央防災会議が、推本(地震調査研究推進本部)の長期評価の公表に、「今回の発表は見送る」「この長期予測は信頼性が低い」「相当の誤差を含んでい
る」などの文言を付加するようメールが送られたという。これが原子力ムラの実体ではないか。このような圧力を加えられていたことは、捜査したのか。
A:中央防災会議だけではなく、専門家から聞いた。その詳細は言えない。
Q:津波の高さ15.7メートルの試算が出ていた。一番厳しい、苛酷な条件の津波にも耐えられるように対策するのが当然ではないか。
A:当時の社会的認識では今すぐ対策をとる必要はなかった。止めておけばよかったではなく、止めるべき義務があったのかどうかが問題。
Q:被曝は傷害だと訴えてきたことに答えがなかったが。
A:被害結果がこれから出るであろうことは否定できない。しかし犯罪行為があり、過失行為が合理的疑いを持たない程度に立証できるのかが問題だ。可能性では足りない。立証できるかが判断の材料。
Q:なぜ強制捜査をしないのか。任意では自分に有利な証拠しか出さないのは当然ではないか。
A:必要な捜査は尽くした。詳細は言えない。
Q:電源の移設や水密化など、他に取るべき対策があったはずだが。
A:電源を高台に置いただけでは、今回の事故は防げなかった。今回は津波で電源盤がやられたことが原因であって、原発の構造を変えなくてはならず、その工事には2~3年かかるだろう。
Q:告訴人の数からいえば、福島が圧倒的。逆に、福島地検に移送することもできたのでは。
A:過失を捜査したのは東京地検であり、必要な捜査を尽くした上での判断だ。
Q:福島でも説明会をお願いしているが、20人といった少数ではなく、もっと大きな会場にさせてほしい。
A:追って相談。
ほかにも不起訴理由に関する細かい質疑応答がありましたが、まるで東電の弁護士さんかと思うくらい、立件できない理由を語り続ける検事たち。どのような捜査をしたかについては、「詳細は言えない」の一点張りで、一切わかりませんでした。
海渡弁護士が、「やれば避けられた事態を、やらなかった人たちを庇うために、汲々とされていることが、私には理解できない・・・」と語り、それは参加した全員の気持ちでした。
17時30分から19時までは、東京弁護士会館に場所を移して報告集会。今後も責任追及を決して諦めない、その覚悟を確認しあいました。
2013年9月5日木曜日
9月3日 武藤類子告訴団団長ら3名が東京電力福島第一原発の放射能汚染水漏れに関して福島県警に刑事告発しました!
福島原発告訴団・弁護団
本日の告発について
1.本日、武藤類子(福島原発告訴団団長)ら3名のものは福島県警に対して、東京電力福島第1原発放射能汚染水海洋放出事件に関して、東京電力元幹部武藤栄ら32名及び法人としての東京電力株式会社を公害罪の被疑事実でそれぞれ刑事告発した。
2.被告発人(32名)
- 武藤 栄 東京電力株式会社 前・取締役副社長(~2011年6月)原子力・立地本部長
- 勝俣 恒久東京電力株式会社 取締役会長(~2012年6月)
- 皷 紀男 東京電力株式会社 取締役副社長(~2012年6月) 福島原子力被災者支 援対策本部名長原子力・立地本部副本部長
- 西澤 俊夫 東京電力株式会社 取締役社長(~2012年6月)
- 小森 明生東京電力株式会社 常務取締役(~2012年6月)原子力・立地本部副本部長兼福島第一安定化センター所長
- 清水 正孝 東京電力株式会社 前・取締役社長(~2011年6月)
- 藤原 万喜夫 東京電力株式会社 常任監査役(~2011年6月)・監査役会会長
- 古谷昌伯東京電力株式会社 取締役(~2012年6月)
- 高橋 彰 東京電力株式会社 常務執行役(~2012年6月)
- 片岡 和久東京電力株式会社 常務執行役(~2012年6月)
- 横田 昌史東京電力株式会社 常務執行役(~2012年6月)
- 下河邉 和彦東京電力株式会社取締役会長
- 廣瀬 直己東京電力株式会社代表執行役社長、取締役、執行役
- 相澤 善吾 東京電力株式会社 代表執行役副社長取締役、執行役取締役副社長
- 山口 博東京電力株式会社取締役代表執行役副社長
- 石崎 芳行東京電力株式会社代表執行役副社長
- 嶋田 隆東京電力株式会社取締役、執行役
- 内藤 義博東京電力株式会社取締役、
- 數土 文夫 東京電力株式会社取締役
- 能見 公一東京電力株式会社取締役
- 小林 喜光東京電力株式会社取締役
- 樫谷 隆夫東京電力株式会社取締役
- 藤森 義明東京電力株式会社常務執行役
- 佐野 敏弘東京電力株式会社常務執行役
- 村松 衛東京電力株式会社常務執行役
- 新妻 常正東京電力株式会社常務執行役
- 武部 俊郎東京電力株式会社常務執行役
- 増田 祐治東京電力株式会社常務執行役
- 山崎 剛東京電力株式会社常務執行役
- 住吉 克之東京電力株式会社常務執行役
- 姉川 尚史東京電力株式会社常務執行役
- 壹岐 素巳東京電力株式会社常務執行役
- 法人としての東京電力株式会社
3.罪名
人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律(公害罪法)
3条2項
東電役員、元役員ら33名
3条2項、4条
法人としての東京電力株式会社
4.告発の内容
(1)タンクからの漏洩
(a)注意義務
東京電力は、人
の健康に有害な放射性物質を大量に含んだ汚染水を貯蔵するために設置した応急仮設タンクからの汚染水漏洩を防ぐため,応急仮設タンクを早期に通常の強度と
安全性を備えたタンクに切り替え,またタンク周りに設置された堰に設けられた排水弁を開放したままにすることなく,止栓して,仮にタンクからの流入が起き
ても,海洋への流出を防ぎ,さらにタンクからの漏洩が起きていないかを確実に検知し,速やかに漏洩防止の措置をとるなどの善管注意義務を負っていた。
(b)東京電力による漏洩
こ
れらの注意義務をことごとく怠り,平成25年(2013年)7月までに,タンクに損傷を引きおこし,汚染水のタンクからの約300トンの汚染水の漏洩に引
き続いて海洋環境への漏洩を引きおこし,また,これを速やかに検知して漏出を早期に食い止めることができず,事業場における事業活動に伴って人の健康を害
する物質を大量に排出した,
(2)地下水からの漏洩
(a)注意義務と過失
福島第1原発の原子炉建屋地下には山側から海方向に毎日約1000トンの地下水の流れがあり,これを迂回させて海に排出する確実な経路を確保しなければ,
早晩地下水が建屋地下に流入し,炉心溶融により建屋地下に貯留している放射性物質と接触し,放射性物質に汚染された状態となって海に排出される事態となる
ことを認識しながら,平成23年(2011年)6月17日政府から検討を求められた原子炉施設を囲む遮水壁の設置について,経営破綻を危惧して中長期的対
策として問題を先送りにし,その後約2年間にわたり,抜本的対策を講ずることなく放置し,また危機的な状況を政府規制担当者らに説明しなかった。
(b)東京電力による漏洩
日
付不明の時期から今日に至るまで,毎日300ないし400トンの,東京電力が認めているだけで,平成23年(2011年)5月以降,海洋に流出したセシウ
ム137は20兆ベクレル,ストロンチウムは10兆ベクレルに上る人の健康に有害な放射性物質を大量に含んだ汚染水の海洋への排出を引きおこし,事業場に
おける事業活動に伴って人の健康を害する物質を排出した,
(3)告発のポイント
福島第一原発事故の収束もないまま、福島原発告訴団の告訴・告発は不起訴にするとの報道がまことしやかに流れている。
本件東京電力福島第1原発放射能汚染水海洋放出事件が発生したのは、まさに地検が上記告訴・告発について、真摯に捜査、検討せず、東京電力に何をやっても許されるという慢心を与えたためである。
本件告発では、本件の捜査を福島県民に寄り添い、その痛みを最も近くで理解している福島県警の手に委ねることとした。
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